2008年10月25日

連載「恋」第8回

あの日、幼い女の子の手をつないだ20代前後の女性が新婚の私達の
前に突然現れた。女性は私に目もくれず夫と車で外へ出て行った。
私は何がなんだか分らないまま夫の帰りをじっと待った。
夫が家に帰って来たのは翌日のお昼過ぎになってからだった
私は「何なんなの?あの女性と子供は何なの」と夫を問い詰めた。

夫はため息をつきながら言った「1年前まで付き合っていた女性で
子供の認知を求めてきた」「あなたの子供なの嘘だ嘘でしょ」
私は怒りに任せて夫の顔を叩いていた。
私はすでに妊娠している。幸せの絶頂だった!
そんな時の夫の思いもよらない裏切りが信じられなかった。
「お金と認知する事で二度とここへは来ない約束したから」そう言うと
夫は又外へ車で出て行ってしまった。呼び止める気力が無かった。

一人取り残された私は絶望的な気持ちを抑えられず、洋服ダンスの
夫の背広をはさみで切り切ざんでた。女の子の顔が浮かぶ。
私が夫に妊娠を告げた時の喜びようはどう思っても
初めて自分が父親になれる喜び方だった。夫はあの子が生まれた時
喜んだのだろうか、お金で終わらせたと言っていたが
そんなものだろうか、思えば思うほど夫への怒りは増していく
自分が怖いとさえ感じていた。母へ泣いて電話した    つづく
posted by 桂のたまご at 11:26 | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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