2008年11月01日

連載「恋」第9回

母は電話の向うで私の話を聞きながら言った「夫を愛していない
なら帰っておいで子供はこっちで産んで育てれば良いから」と
私は夫を愛していた。母は私の心を知っていて言ったのだと
思うと、悲しいほど嫌だった。
「分った、こっちで頑張るから」と電話を切った。

夫はその後一度帰宅して私とは話す事も無く又家を出て行った。
数ヵ月後私は陣痛に襲われ自分ひとりで病院へタクシーを拾って
苦しみながら産科で、誰にも付き添われる事無く
長男を産んだ。「お知らせする所があったらしますから」と看護婦に
言われたが私は「無いと」吐き捨てるように言っていた。

早産だった。長男は保育器に入っていた。2400cはあったので
心配は要らないと医師から伝えられ安心した。しかし、この日から
私は夫に対して愛情という物が憎しみへと変っていくのを
病室の薄暗い中ではっきりと感じていた。

友人が夫に知らせたのだろう夫が病室に現れた、私だけが退院する
1週間目の日だった。夫は「男の子だったな見せてもらってきた」
「なぜ知らせなかった。お前は可愛げのない女だ」と
言ったのだ。いたわりの言葉もなく。
「あの女の所からここへ来たの」私が訪ねると。「会社の寮で暮らして
た。あの女とは終わったと言っただろう」
夫の車で家に戻った。会話も無く夫は又出て行った。
(殺してやろう!)本気で思った。この時の気持ちを母に話した、
今読見終わった、男の手紙とつながっていると思った。
                       つづく    
posted by 桂のたまご at 11:42 | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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