2008年11月08日

連載「恋」第10回

男の手紙を私は再び読み始めた。過去の自分とのそれは出会いでも
あった。(母は何故私に成りすましたのだろう)とその思いにも
関心が湧いていた。男の手紙には母への思いやりが感じられて
私は不思議な感覚に成っていた。
(だって私だ物もの)男に気持ちに引きつけられて
行くのが分っていった。

私は自分の事を母以外の、この男が知っててくれた事に心が熱く成って
いっていると思うだけで、自分が手紙に「恋」していると
感じて手が震えた。男の姿まで想像し始めていく
会って見たいと思う自分、まるで少女のように成って行く。
突然玄関のチャイムが鳴った。私は
慌てて手紙を小物入れに戻した。
「はい」玄関には妹の男が立っていた。「お姉さん、少し良いですか」
妹の男を家に入れた「僕は東京を離れる気はないんですよ。仕事だって
あそこからでは遠いし」
「でも、あの狭いアパートで親子三人は住めないでしょ」と、

私が言うと「だから、出来ればあの家を処分してお金で・・・」
この人何考えてるのかと怒る気さえしなかった。
「姉さん、お願いします。あつかましい事は僕だって承知してます」
妹の男の顔には必死に恥を覚悟して、ここへ来たんだと
感じてしまった。               つづく
ラベル:小説 妹の男
posted by 桂のたまご at 09:25 | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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