2008年11月22日

連載「恋」第12回

私は、初めて妹の住むアパートを訪ねた。妹だけが先に病院を
退院したのだ。姪はまだ少し先に成るらしい。
私はお祝い金と、男から頼まれた100万円を妹に渡した。
「お姉ちゃんごめんね」妹の寂しそうな顔が辛かった。
「これから向うで仕事探すのね」と聞くと「もう仕事は決まったの
あの人お姉ちゃんには不満だと思うけど頑張ってくれてる」
男をかばってる、なんだかほっとしている自分がいて嬉しかった。
それから1カ月後、親子三人は東京を離れて行った。

私は取り残されたような寂しさに襲われたが、いつもの生活
がその後も続いていった。私は男の手紙を途中から読むのを止めていた
気づいたのだ、私の恋ではなかったと、これは疑うことも無く
母と男の恋だと云う事に。男の為に買ったセーターは私が着ていた。

そんなある夜に帰宅した夫が「娘が結婚する」と突然食事中に言った。
「式に父親として出る事にしたから」夫は女と連絡取り合っていたのか
と思ったが腹も立たなくなっていた。
「花嫁の父嬉しい」私の皮肉めいた言い方に夫は黙って風呂場へと
部屋を出ていった。あの女が尋ねて来た時からずっと持っていた
離婚届の用紙を取り出してきた。
用紙は古くなりすぎていた。私はそれをじっと見つめてくしゃくしゃ
に丸めるとクズ籠へ捨てた。
翌日役所で離婚届けの真新しい用紙をもらった。
家に帰ると丁度いいタイミングで宅急便の車が止まっていた。
手渡された物は男からの母の手紙だった      つづく
ラベル:小説 離婚用紙
posted by 桂のたまご at 08:30 | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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