2009年08月07日

「貧乏神さん僕を嫌いに成ってくれませんか」第9回

僕は先月結婚した。妻は同じ職場で働いていた。
真面目で決して美人とは言えないが
思いやりの有る女性。僕には妻といる時間が
好きだった。いつも僕の話を黙って笑顔で聞いてくれる

28歳に成ったこともあり僕はプロホーズをした。
妻は「こんな私で良かったら」と、結婚へと成った。
大恋愛とは言えないがこれが普通だと僕は思った。映画の
世界とは違う物だと・・・・

妻は工場の取引先の企業で事務員として働いていた。
あのバブル崩壊が無かったら妻とは会うことも結婚も
無かったと思う。企業の倒産がきっかけで
工場で事務員として来たのだからこれが運命と言うこと
だろうと僕は思った。

工場はバブルの影響を受けなかった。繊細な物を
作っていたために注文には困らなかったからだった。
僕は運が有ったと思ってた。
職場では仕事仲間も出来て毎日が普通に幸せだった。
工場の近くのアパートが新居となり
仕事が終わると僕はまっすぐに妻の待つアパートに
自転車で帰るというのが日課に成っていた。

小人爺さんの事など遠い幻と消えていたはずだった・・・
あの日が来るまでは。
結婚して2年が瞬く間に経った有る夕方アパートの部屋に帰る
「ただいま」と、僕はいつも通りに部屋に
入った、妻の姿が見えない。こんな事は初めての事だった
何時間経っても妻は帰ってこない。
時計は深夜12時を回っていた。「どうしよう」僕は仕方なく
妻の実家に電話を入れた。

電話口には妻の母親が出て、思いもよらない事を言われた
「娘はそちらには戻りません。離婚を考えていますので
改めて明日私達がアパートへ伺いますから」と、
僕には何が何だか訳が分からなかった。
幸せだった結婚生活が終わる?そんな事が有るわけ無い
僕は考えたが思い当たる事が浮かばず
不安が真夜中のアパートの部屋を覆っていた。     つづく
posted by 桂のたまご at 07:17 | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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