2011年02月01日

「無音」8

どんな感情に成るのか自分で想像していたのに、玄関先に立っている
彼女と少年を見ても不思議に感情的に成らなかった。
それは、それなりに悲しいとも感じる、
血の繋がっている姉と言うのに・・・

両親と妹の骨壺の前で、女性が少年と共にお線香を上げ手を合わせ
ハンカチで彼女は目頭を拭って
母に向かって話しかけていた。少年はきっと彼女の息子だろう。
私は彼女よりも少年に自然と目がいっていた。

彼女が過去の母の娘だったことに抵抗している。
母にも少しも似てない顔じゃないのと思い早くこの時が過ぎれば良いと
不機嫌に成っていくのが嫌でもあった。
私が耳が聞こえないことも知っていて ノートを持ってきた
そのノートに 初めて会えたことは嬉しい
母がまさか殺害された事でが残念ですが・・・

母に息子を会わせてあげられなかった事も悔やんでると
私は聞いてみた。
あなたは母とは会っていたのでしょうか?
何故私の携帯にあなたの番号を登録したのですか?これは母からと
メールで書かれてましたが知りたいです。

母とは一二度しか会ってません。
たまたまその時に携帯の番号を教えあっただけ、
妹がいると聞かされたので、いつか連絡する事も有るかもしれないからと
母から言い出した事。
重い、息苦しさに絶えられなくなりそうだった。

タイミング良く刑事さんが、お母さんがこんな事件に巻き込まれた何かを知らないかと
私にも分かるように手帳に書いて私を気遣ってくれるのが
嬉しかった。
彼女は、全く知らないと答える。
刑事さんと彼女が話している間、とにかく少年は顔を一度も上げないことが
気になり始めていく。

何気なく少年の手を見てしまった。両手に無数の傷があった
少年は私の視線に驚いたのか、背中に両手を隠した。
その時、少年の顔がはっきりと見えた。青白い痩せた顔・・・
やがて、彼女は、又会いたいですがとノートに書いたので
心にもなかったのに、私も会いたいですと書いてしまってた。
こうして二人は帰っていった。少年の手の傷が妙にいつまでも気になっていった。 続く
posted by 桂のたまご at 09:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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