2011年02月26日

「無音」12

事件から半年があっという間に経ったが、犯人に繋がる情報は入って来ない。
たまに刑事が報告へやって来るだけとなっていた。
マスコミも、事件当初のようには騒ぐこともなく
このまま忘れ去られていくんだと自覚する。


仕事から帰って電気の付いてない家嫌いで直ぐに家に入ると部屋中の電気を付けまくる
この作業が最もきつく応える。時々だけど友達が心配してくれて
晩ご飯を持っては訪ねてくれる。嬉しい、ありがたい、
でも、帰ってしまった後の一人の寂しさは残酷な物でもあった。
明日は成人式だなと気づいた。タンスの中から晴れ着を出したが(行かない)
眠れない夜を過ごし朝になっても
私は布団の中にもぐたまま、お昼過ぎになってやっと

起き上がると歯を磨き、カップラーメンのお湯をポットで沸かしていた時
携帯のメールが来た。誰から、あ 彼女からだ・・・
「お元気ですか、あれからあなたの事が気になってて、もし今日時間が
有れば外で会いませんか。
食事でも一緒にしたいのです。母のこともお聞きしたいし」

「私の行きつけのレストラン(ランシャン)で、良かったらメール下さい」
ランシャン、母の好きだった店じゃないの。
こんな偶然が有る物かとその時は何も知らずに思ってた。
迷わなかった メールを直ぐに彼女に返し
会う約束をした。

久しぶりに気持ちが騒いでた。彼女への興味も有り話をしてみたいとも
思たからだ。一番お気に入りの服を着て家を出た。
約束の時間には早すぎるが、久しぶりの渋谷の街を
歩ける。彼女からのメールはとてもありがたかった。
成人式だから晴れ着姿の人とすれ違う。急に涙が出てしまい困ってしまう。それは・・・
(お母さん、きっとみんなで私の成人式に行きランシャンで
食事してたよね)残念だよ悔しいよ!
運命かな、お母さんの別れた義理の姉になる人とこれからランシャンで食事してくるよ。
お母さんの過去の人生に行ってきます。

                                   続く





posted by 桂のたまご at 08:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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