2007年10月31日

連載「みかんの花の咲く丘で」15

僕の生きる為の時間が、あの日から止まっている。
自分で何もして来なかった事を悔やんだ、僕は大阪行きの新幹線の
中にいた。ナツミちゃんに会わなければ何も始められない。
最終の新幹線は、暗闇の中で光る明かりだけが
時々見えているだけだった。午後の11時10分に新大阪に着いた。
大阪の懐かしい匂いがした。僕はそこから私鉄に乗り換え
吹田駅へと向った、小さなその駅は14年前と変っていなかった。
時間は12時を回っていた、駅の近くのマンガ喫茶で時間を
つぶす事にした。僕は手当たり次第にマンガを読みあさった。
朝4時になった。僕は外へ出て歩いた。まだ外は暗く
星空だった。新聞配達の人と出会うと、父を思った、
父は、今どうしているのかと。歩きながら思っていた。すでに
1時間が経った町に朝の光が差し始めてきて、見覚えのある
家が目に入ってきていた。胸が締め付けられる感覚に一歩一歩と
近づいていた。
僕は、自分が住んでいた家の前に立った。
当然と思っていた通り、表札には知らない名前が掛かっていた。
隣の家の表札を見た、あ.おばちゃんがまだ住んでいる。
その時、おばちゃんの家の玄関が開いた、「おばちゃん」
僕は思わず声を掛けていた。「誰れ」不信げに僕を見ている
おばちゃんに、「僕です、津村寛三です」 つづく
ラベル:小説
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2007年10月30日

連載「みかんの花の咲く丘で」14

新平の真剣さが伝わってきた。2年も友達だったのに僕は、
新平の何を見ていたのかと思った。
「カン、俺さ家の跡を継ぐのが嫌で大学に入ったんだ」
僕は冷蔵庫から冷えたビールを取り出して新平に投げた。
新平が手紙を取り出した「カン読んでもいいから」手紙は新平の
お母さんからだった。前略新平様、大学生活は楽しいですか、
元気にしてますか、お父さんは最近すっかり元気が無いのです
幸助と意見が合わずに、喧嘩してばかりでね、智子さんとも
何だか母さん遠慮ばかりで辛くてね。
そんな時父さんと大喧嘩して幸助が智子さんと家を出て行ってさぁ。
おまけに幸助が智子さん家の養子に成るからと
電話が来て、それ以来お父さん店を休んでしまってるんだよ。
一度、家に戻ってくれませんか。ごめんね 母より
「カン、俺大学生活を楽しんでなんかいないんだ、家を出て
家が「あんこ」の匂いが懐かしいんだ俺が和菓子屋の職人って
どう思う」僕は、新平がとっくに決断している事が分った。
妙に羨ましさがこみ上げていた。
「決めてるんだろ!悔しいけど似合ってると思う」
新平の親を思う気持ちが僕には無いと気づくと体が震えた。
そんな事があって、しばらくして新平が退学していった。花と僕が
残されてこんなにも寂しい物かと思いながらも大学生活をつづけて
いた。惰性の中で時間はどんどん無駄に過ぎていく、このままでは
僕は駄目だと思い始めていた。あの日に戻ろう!
僕は、自分の止まってしまっているあの日に決着をしたいと
決めた。大阪へナツミちゃんに会いに行こうと。  つづく


ラベル:小説
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2007年10月28日

連載「みかんの花の咲く丘で」13

アパートのドアのノックに僕は面倒だと思いながらドアを開けた。
新平と花だった。「カン、大丈夫か」新平が心配そうな顔で
僕の顔を見ていった。花も紙袋に薬局で買ってきた風邪薬を
出していった。「風邪かなって思ったから何種類か買ってきたから
飲んで見てよ」僕は何か嬉しかった、二人が友達でよかったと。
「ごめん、大丈夫悪かったな」それから花が台所で
おかゆを作ってくれ僕は食べた塩味がいい感じで美味しかった。
それから僕らは色んな話をした。音楽の事、映画の話とか、花が
明日は講義を受けに行こうとか、たわいない話の中で僕は突然
「カレー屋の女の子って歳幾つぐらいかな?」と言い出したので
新平が驚いた顔をした。
「知らないよ話した事も一度もないしさ」
花が「私は分るねあの子は18だね」自信ありげに言った。
花の勘が確かならあの子はナツミちゃんではない事に成る。
「何、カン、何であの子の歳が気に成るのよ」
花が怒ってしまったかと僕は思ったが花はそうでもなかった。
花は用事が有るらしく帰っていった。僕は新平と二人だけに成った。
「カン、お前さ、将来のこと考えてる、俺大学辞めようと思ってる
んだ」僕は驚いていた、楽しそうに学生しているのは新平の
方だと思っていたからだ。「地元に戻って親父の仕事やっても
いいかなと最近考えてるんだ」「親父の仕事って」
「うちは神奈川の和菓子屋」「新平本気なんか」
僕は新平の顔を見て本気だと感じた。  火曜日につづく
ラベル:小説
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2007年10月26日

連載「みかんの花の咲く丘で」12

母とおっちゃんが、働いているうどん屋は「うどんの坂田」と言って
遠くから観光客がやってくるぐらいに人気の店だった。
坂田は、おっちゃんの親戚で、僕は香川に来てからも、おじさんに
可愛がられていた。母とおっちゃんが籍を入れてからは
僕は、坂田の家で寝泊りする様になっていた。
母は何度も家に戻るようにと云って来たが、中学、高校も結局
坂田から通った。僕が高二の終わりに突然、坂田の家に
おっちゃんが尋ねて来た。おっちゃんは僕に話しがあるらしく
僕の部屋に入ってきた。座るなり言い出した
「カンちゃん、進学の事は決めているのか」「はい、東京の大学へ
行きたいと思っています」「分った」それだけ聞くと帰って
行った。僕は一度もおっちゃんと目を合わせなかった。
とにかく、僕は早く香川を出て行きたかった。しかし、
受験には苦戦した、僕の頭が悪かったからだ。どうにか
現在通っている私立の大学へ入学できた。
僕は自分が情けなかった学費もアパートの費用も
おっちゃんに出して貰った、悪いのは僕だ、初めておっちゃんに
頭を下げた。  つづく
ラベル:小説
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2007年10月24日

連載「みかんの花の咲く丘で」11

車は神戸に着いた、僕の知らない場所だった。母の顔もおっちゃんの
顔も僕は見たくなかった。ナツミちゃんの必死な顔が思い
出されて涙が止まってくれなかった。
車ごと船に乗った、僕も母達と船に乗った乗客が少なかったので
僕は不安な気持ちに成りひざを抱えてじっとしていた。
船は四国に着いた、船の中から車に乗ったままで
降りた。1時間ぐらい走ったら、あるうどん屋の店の前で
止まった、「カンここでまっててや」母はおっちゃんと店の中へ
入っていった。待つ事もなく二人は店から直ぐに出てきた。
再び車で少し行ったところで平家建ての家の前で車から
降りると。家の中に入った、海の匂いでいっぱいだった広い部屋
の中で僕は初めて落ち着いてきていた。
母とおっちゃんは、うどん屋で一緒に働きだしていた、
僕は小学校に年が明けた4月からいき始めた。香川の学校では
関西弁の僕は良く皆に笑われて、すっかり無口な
少年になってしまっていた。やがて年月は早いもので
6年があっというまに過ぎていて僕は中学1年になっていた。
そんな頃、母が言った「カンお母ちゃんおっちゃんと籍入れる
いいか」「いいよ」母は嬉しそうにしていた。
「お母ちゃん、僕はおっちゃんの子供にはならん」
「分ってる」僕は知ってしまっていた、おっちゃんは
ナツミちゃんの父親だという事を、あの日ナツミちゃんは
僕を追いかけていたんじゃなかった。
おっちゃんの車を追っていた事実を、今思い出しても切なくなる
こうして僕は中学1年の夏一人戸籍になった。 つづく
ラベル:小説
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2007年10月23日

連載「みかんの花咲く丘で」10

次の日保育所の朝は、昨日の楽しさの余韻が残っていた。
午前10時に、皆は親達の迎えでそれぞれに帰っていった、僕は
ナツミちゃんに、さよならを言いたかったが
見つからなかったので母と帰っていった。
家の中では父がいつもの様にお酒を飲んでいた。僕は「お父ちゃん
どうやった」と聞いてみた。「がんばってたなぁ」
父が誉めてくれている、僕は父のひざに座った、父は僕の頭を
なぜてくれた。母が父に言った、「明日久ぶりにカンを連れて
実家に帰ってくるわ」父は僕の顔をのぞきながら「カンもいっといで
」と機嫌よく言った。
父は夜は8時には寝る、僕は父におやすみと声をかけた。
母は僕にも明日朝が早いからと寝るようにいったので僕も眠った。
「カン起きなさい」母の声で僕は目をこすりながら
時計を見た。まだ5時になったばかりだったので、
僕はまだ起きないと言った。しかし、母は大きな声で僕に
「カン今から家を出るんや早くしなさい」
母の顔を見て僕は思い出した、ほんまに家をでるんや、
家の外には車が止まっていた、
母はその車の後ろ座席に乗るように言った。
車は動き出した、おっちゃんが運転していた、大通りについた時
横断歩道を、ナツミちゃんが車に向って走ってきたのに気づいた
僕は「お母ちゃんナツミちゃんが追いかけてる止めて」
僕は大声で泣き叫んでた、ナツミちゃんはどこまでも
車を追いかけてきていた、「おっちゃんお願いや止めてえな」
僕は涙でナツミちゃんの姿が見えなくなっているのに
いつまでも泣き叫びながら見続けていた。  つづく
ラベル:小説
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2007年10月20日

連載「みかんの花の咲く丘で」9

僕は朝から落ち付かなかった。早く保育所へ行きたかったので
母をせかせた。「お母ちゃん、早よいこな」
母と外に出ると僕は走っていた。母はあれ以来あの話をしなく
成っていたので、僕の中ではすっかり忘れてしまっていた。
父も夕べ「カン明日お父ちゃんも行くな」「うん」
父に晴れ姿を見せたいと張り切っていた。
保育所では、お昼から始まる学芸会の練習を繰り返ししていた。
一番広い教室が舞台になった。
園庭に椅子が並べられて親達が観戦する。
僕は椅子に座っている父の姿を見つけた。(お父ちゃんや)来てくれた
最初に歌が始まり、手品、お遊戯と進んで行った。
最後が劇「みにくいアヒルの子」で終わり拍手が鳴り止まなかった。
僕の側にナツミちゃんが来て言った「カン兄ちゃんブランコのあそこ
に、うちの、お父ちゃんとお母ちゃんが来てるね」僕は初めて、
ナツミちゃんのおばちゃんを見た。綺麗なおばちゃんだった事を
今も僕は鮮明に覚えている、その夜、僕とナツミちゃんは
教室に20人分の布団が引かれた中で手をつないで眠った。
                    火曜日につづく
ラベル:小説
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2007年10月19日

連載「みかんの花の咲く丘で」8

保育所についた、母は僕に帰りがけに念押しをした。
「誰にも、言うたらあかんよ、お父ちゃんにもやで分ったね」
僕は、何故か悲しかった。母がいつも僕を置いて家出
している事に腹が立ってた筈だったのに。僕の中では違っていた
怖い父と離れて母と一緒に行けるのに嬉しい気持ちには成れなかった
その日の僕は、毎日が楽しかったはずの保育所の練習も
ナツミちゃんと遊んでいても気持ちが痛かった。夕方の4時
母が時間通りに迎えに来てくれて家まで歩いた。僕は母に
朝、言ってたことは、本当なのかと聞きたかったが
聞けなかった。晩ご飯の時も、父も母も笑いながらテレビを
見ながら楽しそうにしていた事が
僕には不思議だった。父が機嫌が良いのか僕に言った。
「カン、お前、保育所で歌を歌うそうやな」「うん」
「お父ちゃん、聞きに行くわ」僕はびっくりした。
本当だろうか?今まで一度も来てくれたことの無い父が
「ほんまか、僕、嬉しい」自分でも驚いた
心から出た言葉だったからだった。母が「カン、良かったね」と
言った。そして11月1日がやって来た。  つづく
ラベル:小説
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2007年10月18日

「新日系人」父探す

「新日系人」とは、海外から出稼ぎに来た女性と日本人男性の
間に生まれた子供のことを呼ぶ。
フィリピンの女性が日本に出稼ぎに来た、そこで知り合った
日本人男性との間に男の子を生んだ。
しかし、別れて祖国に帰った母、息子は日本の父に会いたいと
日本語教室に通っている。生活が苦しく食事も一日一食で
教室の費用を優先している。
息子の願いは一つ、日本の父に会うことなんです。息子の名前は
マコト君という、日本の父親は息子に連絡してあげないのですか?
マコト君は貴方に会いたがっていますよ。
分ってますか。忘れてないなら手紙でもいいですから
書いて送ってあげて下さい。
             居心地 新日系人
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2007年10月17日

連載「みかんの花咲く丘で」7

保育所では毎日が楽しい事ばかりだった。それは、1年に一度の
恒例の、お泊り保育が11月1日にやってくる、それに向けて、
親達に見せる歌やお遊戯や劇の練習をやっていたからです。
僕は、歌の練習に頑張っていました。
劇は「みにくいアヒルの子」ナツミちゃんは主役の
白鳥の役です。ほんまにナツミちゃんはお芝居が上手でした。
保母さん達もナツミちゃんは将来女優さんやねと
話していると僕は嬉しかった。母と父も喧嘩も無くなり、
いい事ばかりがあった。お泊りでは僕とナツミちゃんが初めて
隣同士で布団を並べて寝る事に成った。
「カンにいちゃんと一緒に並んで寝られる、うち嬉しいは」
僕も本当に嬉しかった。来年から小学校へいく事もあって、
最後の保育所生活に、大当たりやと小躍りして喜んでいた。
何時ものように母と朝保育所へ向かって歩いていたら道端で
母が行き成り話し出した。
「カン、お母ちゃんお父ちゃんと別れる」僕は突然だったんので
黙って聞いていた。「カンも一緒やお母ちゃんと来てくれるな」
僕は返事が出来なかった。
今の僕の中ではお泊りの日の事だけで頭の中がいっぱいに成って
いたからだった。「まだ先のことやさかい」母が言った
「お母ちゃん、あんな、お泊りの日が済むまではいやや」
僕が母の顔を見ながら必死に言うと。母は笑いながら
指きりげんまん嘘ついたら針千本のおます。
母と僕は約束のげんまんをした。  つづく
ラベル:小説
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2007年10月16日

連載「みかんの花の咲く丘で」6

家出した母が戻ってくると父は久ばらくは母に優しかった。
そんなんやったらずうっとお母ちゃんに優ししといたら
ええのにと、僕は思った。母は朝、僕を保育所へ送ってくれる
やっぱり僕は嬉しかった。母はそのままパートに行って
夕方の4時頃に迎えに来てくれる。「お母ちゃん」僕は帰って行く
母に手を振った。保育所は僕にとって楽しい場所だった。
特に、おなじクラスに、ナツミちゃんという女の子がいた
僕はナツミちゃんが大好きやった。
ナツミちゃんは髪の毛がくるくるしていてお人形さん
見たいに可愛い子やった。ナツミちゃんは僕の事を
カン兄ちゃんと呼んでいた。保育所の友達の中で誰よりも一番が
ナツミちゃんやった。あっという間に夕方の4時になっていた。
母が迎えに来てくれた。「お母ちゃんこっちやで」
僕を母は捜しているのが見えたので大きな声で呼んだ。
「ナツミちゃん又明日な」「うん、カン兄ちゃんさいなら」
僕は一度もナツミちゃんのお母さんを見たことが
無かった。母に聞いた「お母ちゃんナツミちゃんのおばちゃんて
どんな人なん」「お母ちゃんも見たことがないなぁ」
僕は暗く成っていく保育所に残っている数人の中に
ナツミちゃんを見つけて、何か可哀相になってしもてた。つづく
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2007年10月13日

連載「みかんの花咲く丘で」5

ナツミと呼ばれた、店の女の子はカウンターに鍋を持って行き
カレーを入れていた。「おばちゃん、はい」鍋を受け取ると
婦人は店を出て行った。僕は、女の子をじっくりと見た。
ナツミちゃんに似ている気もしたが。14年も経っているのに
解る訳が無いと思った。花にあの子何歳に見える
何て聞こうものなら、あんたもなのと怒って帰ると言い出す
だろう、聞けなかった。「カン、顔色が悪いよ。大丈夫」
花がいいタイミングで言ってくれた。
「風邪かな?悪い先に帰るは」二人が心配そうに僕を気遣ってくれた。
そんな二人を残して僕は店をでた。
地下鉄に乗ってアパートに帰った、部屋に入ると全身の
力が抜けていった、寝転がって目を閉じた。
14年前の思い出が蘇えって来た。ナツミと呼ばれたあの子を
思いながら。14年前、大阪吹田市に僕は住んでいた6歳だった。
父は中央市場で働いていた深夜3時から早朝7時まで
それからはずっと家で酒を飲み、きつい言葉で母を怒鳴る
そして、暴力、母は何度も家出を繰り返していた。
僕は母のいない間父と二人きりでいた何にもされなかったが
父が怖かった、母は直ぐに見つかり連れ戻された。
僕は子供ながら思っていた、母はどうして僕を置いていくのか。
悔しかった。  火曜日につづく
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2007年10月12日

連載「みかんの花咲く丘で」4

店の中には、丸い小さなテーブルがわずかに有るだけだった。
お客はどのテーブルにもいて満席だった。
花の事だから午前中の授業は受けてきているだろう。
「シェフ自慢のカレーは注文してあるしね」
「サンキュー、待った」「さっき来たところ授業受けてきたから」
あたり、店の女の子が水をはこんできた。
新平は僕に言った、「感じのいい子だろう」そうか、こいつの狙いは
カレーじゃなくあの子が目当てだったか。
確かに、可愛い子だと僕も思った。カレーが運ばれて来たとたん
僕のお腹がなった、僕は女の子に聞かれたかもと少し
恥ずかしい気持ちに成った。シェフ自慢のカレーは、
昔懐かしい味がした。特別美味しいとは思えなかった。
しかし、優しい気持ちにさせてくれる味ではあった。
新平は、しきりに女の子を目で追っていた、「新平」花が
怒ったように言った「私の話聞いてないでしょ
あの子が気に成るなら付き合ってもらえば」
最もである、新平はカレーもほとんど食べてなかった。
店の中に、なべを持った60代ぐらいの婦人が入ってきた
「ナツミちゃんカレーいつもの量で」「はい、ちょっと待ってて」
僕は心臓が飛び出しそうになった、
ナツミちゃんその名前は14年経っても忘れる事の
出来ない名前だった。  つづく
ラベル:小説
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2007年10月10日

連載「みかんの花の咲く丘で」2

やって来たのは、福井新平20歳学友、ひょうきんな奴で
一緒にいるだけで楽しくさせてくれる。今朝の僕は少し機嫌が
悪かった。不機嫌な言葉で言った「新平、僕、きょうは休むから」
新平は平気な様子でコンビニで買ってきた袋の中から
パンを食べ始めた。「かん、お前も食べるか」
僕は食欲が無く、首を横に振った。
「俺も休むは、かん、お昼さ、いい店を見つけたんだ
シェフ自慢のカレー美味しそうだろう」
僕は呆れた、朝パンを食べながら昼飯の話かよ。
「花も行くって」花、本木花20歳学友でもあり、このアパートの
大家の孫でもある。毎月の家賃の集金を花がしていた。ある日
大学の構内で、花に会った僕は驚いた、
化粧気の無い色白で地味な女の子である。性格は2年経っても
良く分からない、いつの間にか、この3人で行動する事が
多くなっていた。「カン、付き合えよ」 つづく
ラベル:小説
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ヤンキース敗退

ア・リーグのフレーオフでヤンキースがインディアンスに6-4で
負けて3年連続の敗退と成りました。
納得の結果でした、投手不足は短期戦の場合絶対に不利なんです。
今年のヤンキースは、打線は良かったが投手が!
投手不足はここ数年のヤンキースの課題だったのに。
何故、松坂取にも消極的でした。
プレーオフをにらんで他チームの投手を補強しておけば良かった
のにね。終われば後の祭りでしょう。
私は、ロッキーズに注目しています絶好調ですから。

              居心地 後の祭り
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2007年10月09日

連載「みかんの花の咲く丘で」1

東京の安アパートに住んで今年で丸二年が経った。
香川の母から時折段ボールで食料が送られてくる、僕はこの二年
一度も香川へは帰っていない。
母も段ボールの中に手紙を入れてきたことが無い電話も
お互いしていなかった。母にすれば段ボールが
戻らない事で僕の安否を確認しているのだろう。
僕は香川から出て行きたかったそれだけだった
大学も何処でも良かった。東南大学経済学部のニ回生、三流大学だ。
そんな僕の日常はバイト・バイト合間に大学へといい加減なものだ。
朝の七時アパートの階段を上がってくる音だけで眞平だと分る。
来た「カン、俺」カン僕の名前は、津村寛三20歳   つづく
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2007年10月03日

「お弁当の中はお花畑」

雅子ちゃんの家はとっても貧しかった。小学校は給食だったので
皆とおなじ物を食べていたから良かったのに、
中学になったら、お弁当持参になった。
「嫌やなぁ」雅子ちゃんは、恥ずかしいと思った。
家は貧乏だから皆と同じお弁当を持っていけない事が心配でした。
「お母ちゃん、明日からお弁当やけど、おかず、なんなん」
「雅子、お母ちゃんにまかし時」
雅子ちゃんは不安でたまらなかった。夢まで皆に笑われてる自分が
いた。朝起きるとお母ちゃんがお弁当を作っていた。
「あかん、見たらあかん。お弁当の時間まで待ってなさい」
「そんなんあかんわ」「お母ちゃんとの約束や」
「約束て」そして中学学校の最初の日が始まった。
雅子ちゃんは、お昼の事ばかりが気に成り授業に集中できません
でした。
そして、いよいよお弁当を食べる時間が来た。
「怖いなぁ、見といたら良かった、けど約束は破れへんし」
皆は初めてのお弁当をあけ始めた。
雅子ちゃんも、お弁当のふたを目をつぶってあけた。そおっと
目を開けた、「わあ何やこれは」
雅子ちゃんは驚いたお弁当の中がお花畑だった。
隣の席の子が雅子ちゃんのお弁当を見て言った、「可愛い」
その声に教室の皆も雅子ちゃんの席に集ってきた。
「ほんまや、お花がいっぱいや」
雅子ちゃんのお弁当の中には、お漬物で出来たお花が咲いていました
「お母ちゃん、ありがとう」
雅子ちゃんのお母さんの優しい気持ちが溢れていました。
お花畑のお弁当を雅子ちゃんは
一粒も残さずに食べました、「お母ちゃん、ありがとう」 おわり
ラベル:小さなお話し
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2007年10月02日

「蟻とキリギリス」

キリギリスの両親は息子の太郎にヴィオリンを教える毎日でした。
「太郎は才能がありますねお父さん」「そうだね、しかし練習あって
こそだからね」お母さんは太郎のために食堂でお皿洗いの
仕事をして毎日遅くまで働いていました。
「お父さん、僕もう嫌だ!」お父さんは太郎の才能を伸ばして
やりたい一心で毎日厳しい練習をしていたのです。
「太郎、見てごらん。蟻さん達の子供だって遊んでないだろう」
「蟻さん達は、おかしいんだよ」
「良く見てごらん、文句言ってる蟻の子供がいるか」
太郎は寂しかった、お母さんに甘えたいのに仕事で疲れている
お母さんに、甘えられませんでした。
「太郎、お前には才能がある世界一のヴィオリニストに
間違いなく成れるんだ、頑張ろうなお母さんの為にも」
「分った、僕かんばる」こうして厳しい練習を続けるのでした。
そして、寒い冬が訪れました。
息子太郎のヴィオリンの腕は確かな物になっていました。
貧乏なキリギリスの一家はこの寒空の下で
震える日を過ごしていた。「お腹すいたよ」
太郎が泣き出した。「困ったね、お金は後わずかだけだし」
すると「キリギリスの皆さん」蟻さんのお母さんが声を
かけてくれました。
「良かったら家へ来てくれませんか」
キリギリスの一家はびっくりしました。
「私達は、来る日も来る日も只働くだけだった。そんな時
美しいヴィオリンの音色にどれだけ励まされていたことでしょう
どうでしょう、この冬は家で良かったらヴィオリンを
毎日聞かせてくれませんか」
こうしてその冬の蟻さんの家からは太郎のヴィオリンが
聞こえていました、とっても温かいヴィオリンの音色
でした。        おわり   
posted by 桂のたまご at 13:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月01日

「秋の風」

女は不思議である、この人なら自分が幸せになれると分ってる。
しかし、上手くいかない。自分を傷つける言葉を平気で
云う男に引かれていく。
何でなんだろう?胸が痛い方が好きなのでしょう。
優しい男が、四葉のクローバーを渡してくれた。「これって
プロポーズ」女も幸せを願っているのに、「ごめんね」で終わる
男は、成るすべもなくなる。
女は云う「私は貴方を幸せに出来ない」「それでもいい」
「駄目だよ、私ね、どうにも成らない人を今好きなんだその
四葉のクローバーもらってもいい」
なんと勝手な女、「貴方には、心の中に四葉のクローバーが
あるもの、だから私に頂戴」「こんなの持ってても幸せになんか
成れないよ」
「ごめんね、私にはいるのお願い頂戴」
「酷いよ君は」「分ってる、ひどいよね」
男は女に四葉のクローバーを渡すと背を向けて走り去って
いった。「私は最低な女だよあいつと不幸せに成る未来しか
見えない」女は四葉のクローバーを食べた。
ろくでもない、あいつの所へ向っていく秋の風が女の髪を
揺らしてくれた。  おわり
ラベル:小さなお話し
posted by 桂のたまご at 16:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月30日

甲子園球場しばらくお別れ

昨日のナイター試合で甲子園球場は改修の為にしばらく
お別れと成ります。
その最後となる試合で阪神が勝利で飾れず涙雨でした。
フレーオフも京セラドームで開催されます。
雨の中にもかかわらず48000人の観客で球場は埋まっていた。
負けても選手達に惜しみない拍手が送られていました。
大阪人は温かい人達でした、阪神頑張らんとあかんよ!
残り試合全勝したらどうですか?
ファンあってのチームやしね、きばんなはれや!

              居心地 お別れ
posted by 桂のたまご at 07:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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